老いと死の超克――わが葉隠
片島紀男著
本書より『葉隠』とは、結局、論じる書ではなく、密かに座右に置いてそれを読み、それを密かに生き、生活の場で実践する書なのである。単なる封建時代の武士道書ではなく、生活者の思想と心構えを普遍的に語っている人生哲学の書である。
NHK佐賀支局に長期赴任した著者が、自らの人生と思索の遍歴をたどりつつ、多くの謎に満ちながらも人々を魅了してやまない《葉隠》を深く読みこんでゆく。安保闘争や三島由紀夫事件など昭和の記憶、そこに立ち合ってきた自らの半生。もはや目前に横たわる〈老い〉と〈死〉を、如何に超克するか……。この問に、《葉隠》を拠りどころとして決然と向き合わんとする、60 年安保世代からの真摯痛烈な熱いメッセージ。
著者
- 片島紀男(かたしま・のりお)
- 1940年、東京生まれ。
1963年、慶應義塾大学法学部卒業。NHK入局後、14年間にわたり佐賀局に赴任。日本・アジアの近現代に関わるドキュメンタリー番組の制作で注目を集めた異色のディレクターである。「放送人の会」会員。